初心者向きかはともかくプロからも長年愛されているドラムペダル

実に15年くらいの廃番期間を経て、2015年に再発売してから恐らくベストセラーに返り咲いてしまっただろうYAMAHAのフットペダルFP720復刻版。
基本設計は40年前とかで、この間にペダルは格段に進化しているはずなんだけど、どこの楽器店にもあるところを見ると新しいユーザーも獲得しているんだろうか。

たぶん自分も含め80〜90年代にこのペダルを使っていたドラマーは名機なんて思っていなかった。どこにでもある、ごく普通のペダル。
たぶんdw5000が大ヒットしたころから一気にアンダープレート付きのチェーンペダルにシフトして、古くさいベルト駆動ペダルは市場から消えていった。入手困難になってからあの「普通」のペダルに代替品がないことに気付いた。

自分の場合も学生時代使っていたFP702をドラムセットと一緒にサークルに譲ってしまい、しばらくドラムから遠ざかっていたこともあってペダルを持っていなかった。2000年ごろになってそういやあのペダルまた欲しいなと思ったら廃番になっていて、SpeedKingを買ってみたけどうまく使いこなせず、長らく足に合ったペダルがない状態だった。

FP720の魅力を語る人たち


当時から見た目もパッとしないし、価格も安くてプロモデルには見えないんだけど、意外とプロも愛用していた。
昔のFP720愛用者として有名なのはラウドネスの故・樋口宗孝。ちなみにX JapanのYOSHKIは上位モデルのFP910使い。両方持っていた者から言えば、最初はFP910のパワー感とか戻りが気持ちよかったんだけど、だんだん鬱陶しくなってきて、気付いたらFP720ばかり使っていた。

YAMAHAの製品ページ「使用アーティスト」で、一番上に記載されてるのが青山英樹というドラマー。故・青山純のご子息で今だとBABYMETALの神バンドで知られているが、典型的な爆速ツインペダルドラマーなのでまさかFP720を使っているとは思わなかった。



この動画、YAMAHAの新製品ペダルのレビューなのに、なにかというとFP720を引き合いに出している。数えてみたら10回近く言っていて、これじゃFP720の宣伝してるみたいだ。

ショップ店員さんも熱い。

「伝説の名器が堂々の完全復活!復刻版 FP-720まもなく!」

イシバシ楽器の店員さんが書いた復刻記事なんだけど、愛が凄い。実際この記事で再発売を知り、発売間もないときに当の御茶ノ水店まで出向いて買ったドラマーがここにいるのだから、宣伝効果はあったのだろう。

FP720のバリエーション


FP701→702→710→720と続くバリエーションがあって、復刻されたのは最終型の720。昔使っていたのは702で、復刻版FP720は若干違和感があった。

FP701→FP702 : ビーターシャフト変更

演奏中にスポッと抜けないよう、シャフトに切り込みが入った。本体はまったく同じ。

FP702→FP710 : フープクランプのネジ位置変更

701/702はネジがクランプのすぐ上なので、かがんで閉めるのが大変だったのと外れやすい欠点があった。サイドになってフレームも変更。

FP710→FP720 : カム形状変更、フットボード重量増

それまでの変更と違い、明らかに操作性が変わった。踏み心地がやや重くなり、よりパワーが出るようになった。710までのペダルがマックスボリュームの壁を感じるのに対し、720は踏めば踏むだけ大きな音が出る感覚がある。
逆に足に対する追従性というか、細かいボリュームコントロールは710のほうがしやすいと思う。

復刻版の720を使い始めたとき、昔の感覚が戻ってきたが多少振り回されている感じがあった。ヤフオクで中古の702を入手してみたら、やはり当時の感覚そのものなんだけど、既に720のパワーに慣れてしまい、702には戻らなかった。

他にもチェーン駆動のFP720Sとか、ツインペダルのDFP750とかあるようだ。ツインペダル仕様はたまにヤフオクに出ても結構いい値段で落札されている。

FP720が初心者向けと思える理由


ツインペダルありきの高速バスドラム志向のドラマーにはそもそも選択肢がないし、基本的にはおっさん向けのレトロ商品であって、現代のハイパーペダルとは正反対の性格。でも最初はこれくらい素直なペダルで、自分の足で演奏する感覚を掴むのも損ではないと思う。以下初心者向きと思える理由。

調整する必要がない

ほとんど調整が出来ないということは裏を返せば買ってきてそのまま使っても何の問題もないということ。

雑に扱っても壊れない

構造がシンプル過ぎて壊れようがない。ベルトなんか切れませんよ。よっぽどチェーンの方がトラブル多い。

コストパフォーマンスが良い

今時4-5万するペダルが多い中で1万円台。一定の需要があるので不要になってもそこそこの値段で売れる。

ただ復刻版はフットボードをはじめ表面処理が新品とは思えないというかホームセンターのスチール板みたい。店頭で他のペダルと見比べたら手に取りすらしないだろう。


商品紹介文も熱い [イシバシ楽器]
2020/02/13 0
#ドラム初心者
お名前: [必須入力]

メールアドレス(返信を希望される場合のみ):

コメント(スパム対策のため、URLは記入できません): [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

▲Page Top