一番多いのは人間関係だろうし、人間関係が壊れる理由はたいてい女性問題か、プロなら金銭問題だろう。
また多くの時間を一緒に過ごしているため、性格の不一致もあると思う。
映画Let It Beはまさにバンドが壊れていく様を無慈悲に記録した作品で、ひたすら陰鬱な映像が続く。たまたまテレビ放映時に見てしまったのだが、それがとても貴重な体験とは当然気付かなかった。
ラストのルーフトップライブは感動的ですらある。修復不可能なまでに関係が壊れたメンバーが、これが最後とばかりに息のあった演奏を繰り広げる。ドキュメンタリーと言いながらちゃんと映画として成立している。
ただあまりにネガティブな内容のため、一旦発売されたソフトも含めすべて封印されてしまった。
長年に渡って映画"Let It Be"を封印していたのは誰なのか
90年代からの怒涛のリイシュー攻撃を振り返ってみると、何度か封印を解く機会はあったのだがこれまで実現しなかった。1995 The Beatles Anthology (CD/VHS)
アンソロジー映像の中で映画の一部が流用され、次は完全版Let It Be復刻かと思われたが、ジョージが渋っているというような描写があった気がする。2001 ジョージ・ハリソン死去
2003 Let It Be... NAKED (CD)
ジョージの死後、フィルスペクターの付加物を外した「裸の」Let It Beが発売された。もしや映画も再発売かと思ったが、実際にはCDは海賊盤のGet Backにも満たない出来で、映像が裸にされることもなかった。2013 ポールとオノ・ヨーコ和解
この映画で一番損をしたのは間違いなくヨーコだろう。ビートルズを解散に追い込んだ張本人として世界中の憎悪を受け続けていたヨーコが、ポールの好きなように作り替えた映画にOKを出すはずがない。和解によって両者の利害は一致し、再発に向けての下地はできたのだろう。2016 ジョージ・マーティン死去
ビートルズのパブリックイメージを守るという意味で、あるいは一番反対していたのはこの人かもしれない。よく考えればマーティンに限らず、ビートルズビジネスに関わる人は皆、反対だろう。ビジネスに取ってプラスにならない限りは。
「通説を覆すザ・ビートルズの映画を作った」
なんとと言うかやっぱりと言うか、Get Backセッションの膨大な映像をもとに「セッションがビートルズにとどめを刺したという通説を覆す」新しいストーリーの映画を作る(作った)らしい。そもそも通説のもとになってるのは50年前にあなた方が作った映画なんですが何言ってるんですか。
監督のコメント「現実は伝説とはとても違うことを発見した。確かに感情的になっている瞬間もあった。でも、長い間連想されていた不和ではない。」
あなたポールの犬ですか。
そりゃ一日中いがみ合ってたらそもそもレコーディング中止してるし、ビリー・プレストン参加後の映像を増やせば和やかな雰囲気になるだろうな。
ボヘミアン・ラプソディで分かるように必ずしも歴史の改ざんが悪いことではないのだが
新しい映画はどういうストーリーにするんだろう。ヨーコと和解した今、ポールが必要以上にジョンを貶めるようなことはしないだろう。ではジョージを悪者にするかといえば、そもそもジョージを一番苛めていたポールが自分に矛先が向くようなリスクを冒すわけがない。結局ジョンもいい人、ジョージもいい人、みんな仲良し感動巨編になるんだろう。
別にいいんだが、ルーフトップの意味が変わってきちゃうのはどうするんだろう。たぶん「ルーフトップを通じて結束力を強めた4人は次のアルバムを最高傑作にするべくAbbey Roadスタジオに向かった。続く」て感じかな。
今年はジョンの死後40年だし、公開は12月8日だろうか。
新作映画は改ざん決定、ではオリジナルの映画は陽の目を見るのか
新作映画公開とは別に、オリジナルLet It Beのリマスターも発売予定とのこと。あくまで予定だが少なくとも50周年CDボックスは出るだろうし、抱き合わせにしろ別売にしろ、商売としてこのタイミングを外す手はない。ただ出るにしても多少の改版(改悪)は免れないだろう。新作映画が感動ストーリーになることが確定的なため、オリジナルをそのまま出したら整合性が取れなくなるから、いがみ合いながらも信頼し合っているような作りにするんだろう。ひょっとしたら新作を隠れ蓑にしてオリジナルをしれっと改ざんすることが目的だったりして。
2020/02/04
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#Beatles#50years