1980年代に発売された、リマスター前のいわゆる「初期CD」は総じて音が悪いというのが定説だ。音が悪い理由を前回いろいろ考えてみたが、どれも説得力に欠けるというか、実際に収録されている音は悪くないのではとしか思えなかった。そうなるとリスナー側にも問題があるのではと思いついたのが以下の3点。
いつも聴いている音量が小さい
ハイエンドの世界は知らないが、少なくとも普及帯のオーディオが小型化して行ったのはCDやMDの普及と無縁ではないと思う。所謂「ハイコンポ」というジャンルが全盛だった頃で、当時家電量販店のオーディオコーナーで店員と「一般家庭だと大きな音が出せないから、小音量ならむしろ小型スピーカーの方がいい音するんですよねー」などと話しながら、こいつら一生信用しねえと思ったのを覚えている。
一方で初期のCDは概ね音圧が小さく、ダイナミックレンジが広い。爆音で聴く分にはいいのだが、小音量だと小さい音が埋もれてしまったり、低音がショボく聴こえるのは事実。小音量でも「良い音」に聴こえるのは、やはり音圧を上げたリマスター盤の方だと思う。
単なる思い込み
せっかくわざわざ買い直したCDが、音が悪いわけがないという思い込み。初めから音が悪くなることを期待して買い直す酔狂な奴は少数なわけで、買い直した時点で評価は済んでいるのだと思う。
そもそも初期CDを聴いていない
自分を含め、結構このパターンはあるのでは。CDの生産量がアナログLPを逆転したのが1986年。ビートルズのCDが一斉発売されたのが1987年。最初のリマスター盤が発売されたのが1987-1991年あたり。
個人的にも最初に買ったCDがたまたまリマスター盤だった(ドアーズ、クイーン)、ボックスセットで初めてCDを買った(クリムゾン)、ボックスセットでコンプリートしたので満足してしまった(ポリス、ツェッペリン)など、初期CDをすっ飛ばしていきなりリマスター盤からCD化したアーティストは意外と多い。このパターンにハマるとわざわざ旧規格のCDを買い直そうとは思わないため、音質に納得がいかなければ新しいリマスター盤が出るたびに手を出すサイクルに陥る。
初期CDの音って、決して悪くない
レコード会社は絶対に言わないし、オーディオや音楽関連マスコミも絶対書かない。新作が売れなければ飯のタネに困るから。
2017/03/16
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#デジタルリマスター