LET IT BE... NAKED / レット・イット・ビー・ネイキッド

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このアルバムを今だに愛聴盤にしている人はどれ位いるだろう。既になかった事にされそうな扱いだが、発売当時はそれなりに好評で「フィル・スペクターの大仰なアレンジを取り去った、これが本来のLet It Beだ!」みたいな大本営発表通りの論調が主流だったと思う。

改めて聞きなおすと「新しい時代のLet It Be」としては良く出来ていると思うんだけど、たぶん"naked" という思わせぶりなサブタイトルがこのアルバムの印象を悪くしている。

"naked"の象徴のように必ず引き合いに出される"The Long And Winding Road"は、フィル・スペクターとか以前に採用テイクが悪いと思う。いかにもオーバーダビング前提のようにスカスカで、ベーシックトラックに厚塗りしただけのボーナストラックみたいな仕上がりになってしまった。
オーバーダブなしでミックスするなら、まだ「アンソロジー」収録テイクの方が、セッションの "naked" な臨場感を伝えるという意図どおりに聞こえたと思う。

さらに印象を悪くしたのが"Two Of Us"。
この曲の冒頭ハーモニーは元々ジョンのパートが強く、ずっと合作と思い込んでいたくらいのバランスだったのだが、”naked”バージョンはどう聴いてもポールの声が大きく、主旋律とハーモニーが逆転したように感じた。
ポールの曲だし、リミックスだからどう弄ろうがポールの自由なんだろうが、このアルバムへの興味は一気に失せた。

これから先もビートルズのカタログがリイシューされるたびに、ポールを中心とした歴史の改ざんが巧妙に続けられるのだろう。ヨーコ・オノもすでに防波堤として機能していないだろうし、ビートルズ・ストーリーは白々しい美談に書き換えられていくはずだ。
2020/02/03 0
#リミックス#Beatles
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