
21st Century Schizoid Man (BBC Transcription Disk)
楽曲自体は「Epitaph」に収録済みだが、当時行方不明だったBBCの放送用LPレコードが発見されたという出来過ぎたお話。とはいえ元の音源がイタリア盤ブートレッグなので音質向上は著しく、この時期の録音として文句はない。
5月の録音・放送という、オフィシャルレコーディング前の音源という歴史的価値もあるが、とにかく演奏のテンションが凄い。特にグレッグ・レイクとマイケル・ジャイルズのリズム隊が最高で、反面フリップはイマイチというか単なるバッキング要員。でもクリムゾンは一貫してブリブリのベースが支えているバンドだし、この頃のフリップのプレイが冴えないのは本人も認めているのでこれでいいのだ。このバージョンに比べると、オフィシャル録音は完成度は高いが置きにいった演奏に聞こえてしまう。
聴き比べ対象マスター
A. 初期マスター, 1987
B. The Definitive Edition, 1989
C. 30th Anniversary Edition, 1999
D. Original Master Edition 2004
E. 2009 stereo mix
もともと持っていたのはBとCだけで、Aを中古で入手した。クリムゾンに限らずリマスター前の初期CDについては触れられることすら少ないが、一聴した感じでは一番よかった。さらにD/Eのカップリング2CDを新規で追加。
21st Century Schizoid Man
I Talk To The Wind
まずは2009 stereo mixと2004 Original masterの比較。
2009ミックスは意外と攻めていて、すべての音が前面に出てくる。マスターが良いから出来る技だが、皆が一斉に主張し始めるので何が主役かよく分からない。
2004オリジナルに戻ると、ボーカルが主役なのが分かってホッとする。
ボーカル曲でボーカルが埋没するのはミックスとして如何なものか、ということで2004オリジナルを採る。
続いて初期マスター。明らかにノイズが多くて厳しいかと思ったが、ハイハットが妙にリアルなのに気付く。
再度2004オリジナルへ。ハットは空中で鳴っているのだが、音の出所が分からない。初期マスターだと左足で踏んでいるのがはっきり分かるし、スティックで叩いている時はアタック音も残っている。
さらに聴き込むとライドシンバルのカップ音が違う。シンバルの音は本来、アタック音より残響音のピッチが低いのだが、2004オリジナルはまっすぐ伸びていて、サンプリング音に近い感触。
ドラマーでないと気にならない感覚かもしれないが、せっかくハットを効果的に使った曲だし、左側に配置されていてドラマー視点の定位になっている(ライドは意味不明なセンターにあるが)ので、これを優先しようと思う。
念のため他2バージョン。1989リマスターは明らかに音圧ブーストで、音が割れてしまっており論外。30周年リマスターになると音割れは解消されているが、ノイズを消したらしくシンバルが電子音。方向的には2004と同系統のため、いま積極的に選ぶ理由がない。
結論としては
A>D>E>C>Bだがドラマー補正が入っているため、一般的には
D>A>E>C>Bでいいと思う。
ノイズは消しちゃいかんなあと改めて思った次第。
Epitaph
オリジナル・マスターの恩恵を一番受けているのはたぶんこの曲で、特にフリップのギターが素晴らしく完全に主役。以下ギターを中心に聴いていくことにする。
2009リミックスは変わらずハイライトのない音。ぼーっと聴いてて思ったのは、この音では興味のないリスナーを振り向かせることはできない。そんな役割担ってないよと言われればそれまでだけど。
初期マスター。困ったことにベースとドラムはこっちの方が良い。ただやはりギターが主役であることを明確に主張した2004オリジナルに軍配を上げたい。
Moonchild
In The Court Of The Crimson King
総括 & ベスト・バイ
単品CDのOriginal Master Edition。オリジナルマスターの鮮度を採る。2009ミックスはまったく不要のため、40周年記念のCD+DVD、2CDでなくて十分。バンドマンなら是非初期マスターも。

King Crimson/In The Court Of The Crimson King (Rmt)
2017/02/21
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#リミックス#King Crimson#50years
こちらのブログに辿り着きました。
「初期マスターCD、いまのオーディオ環境で聴くとじつはイイ音?」
という感想は僕もジェネシスのCDで感じます。
実際に楽器を演奏される方による聞き比べはとても興味深いです。
次回の更新も楽しみにしていますね。それでは。