音圧戦争とデジタルリマスターの関係

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リマスターCDの紹介記事を見ると、たいていこんな文章を見かける。
「以前のバージョンと比較すると音圧が上がり、S/N比が確実に向上したため、ベールを1,2枚剥いだように音の輪郭がクッキリと浮かび上がります。今までノイズに埋もれていた音が聞こえるようになり、みずみずしい音場が拡がっています」

ちなみにコピペではなく自分で書き起こしたものだが、大体こんな感じだろう。さらに冒頭に下の文章を加えると、それっぽくなる。
「本国オリジナル・アナログマスターを採用し、アーティスト本人の厳格な監修の元、最新テクノロジーを駆使して施された24bitデジタル・リマスタリングの効果は絶大で、」
一見して「音圧リマスター」だなと気付く文章で、最近はこういうレビューを見ると聞く気も起こらない。
「音圧戦争」そのものについては専門家が背景も含めて詳しく解説しているサイトがいくらでも見つかるので省くが、もともと新譜を売るための手法のはず。60-70年代の旧譜では不要のはずなのに、なぜリマスターCDが巻き込まれるようになったのか。以下はすべて仮説だが、思いつつくままに書いてみる。

iPodによるシャッフルプレイの普及

現在のポータブルオーディオの源流となったのは言うまでもなくiPodだが、中でも商品名がそのまま新しい音楽の聴き方を提示したのが「iPod Shuffle」。本体には液晶さえなく、次になにがかかるか分からないという感覚は新鮮だった。
複数のアーティスト、アルバムを「シャッフル」して聞くようになると、一曲ごとに音量調節するのが煩わしくなる。特に60-70年代のロックは相対的に音が小さいため、ユーザーからの不満が増加していった。

商品性の向上

リマスターCDは音質向上を売りにした商品である以上、「誰にでも」「すぐに」音質向上が感じられるのが望ましい。音圧ブーストは音が前面に張り付いて迫力が増すし、小さな音も聞こえやすくなるため、手っ取り早く音質向上をアピールできる。

エンジニアの癖

マスタリングを手がけるエンジニアがすっかり音圧ブーストに麻痺してしまっている可能性は高いと思う。リバーブをかけないと物足りないのと同じレベルで、音圧を上げないと不安になってしまうのではないか。
2017/02/16 0
#デジタルリマスター

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