デジタルリマスターの意義を考える

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何年かぶりにレコード屋、もといCDショップに行ってみたら、ROCKのコーナーが見当たらない。どうやらいつの間にかすみっこに追いやられたようだ。
昔は店の中心は全部ロックコーナーで、周りを囲むようにJ-POPやらヒップホップやらがあって、奥のほうにJAZZやクラシックというレイアウトだったものだが、すっかり逆転された感じ。
平積みのCDジャケットを見て無理もないと感じた。しわしわのお爺ちゃんがこっちを睨みつけてるジャケットなんて、誰が買いたいと思うんだろう。
ロックは若者の音楽なんて遠い昔の話で、50年経って当時のトップスターはまだ現役で、70代の演奏を5~60代が聴くという異様な状況になってしまった。
閉塞的なマーケットの中で、レコード会社やアーティストは再発商法でずっと食いつないでいる。すでに全部のアルバムを所有しているリスナーにもう1セット買わせるため、手を替え品を替え付加価値を提示し続ける。
ボーナストラック、復刻紙ジャケット、高品位高音質ディスク、豪華ブックレット・・・
中でも目玉になるのが「最新デジタル・リマスター」だ。

リマスターする意味

リマスター再発が始まったのは意外と古く、1987年頃から第一次リマスターブームが始まっている。当時のリマスターには「流通しているCDがアーティストの意を汲む形でリリースされていない」という大義名分があって、アーティスト本人がリマスタリング作業に携わるのが流行だった。
あるいは日進月歩で進化する最新デジタル技術を駆使して、古臭くなった音源を現代風にモディファイする事によって、新しいリスナーを獲得したいという前向きな動機もあるだろう。そういった試みは積極的に支持したいが、大胆なリミックスはあまりなく、どこがよくなったのか微妙なリマスターばかりなのが現状だ。
今の再リマスター、再々リマスターに至っては大義などすでになく、「限られたマーケットで売上を維持するためのカンフル剤」でしかないのだろう。それでもリスナーは従順に買い直し、「驚くほど音がよくなった」「今まで聞いていた音はなんだったのか」など賞賛の声をブログに上げ続ける。

リマスター=高音質なのか?

個人的には21世紀になってからの再発には付き合わないことにしていたのだが、やはり音がいいと評判があれば気になるし、「幻の未発表曲」や「奇跡の発掘音源」も一度は聞いてみたい。
そんな時、音楽配信サービス「Spotify」が日本でサービスを開始した。ライブラリの膨大さは噂以上で、今まで何十年もかけて集めた努力を嘲笑うように定番からベスト盤のみ収録のレアトラックまでそれこそ「何でもある」状態。
しかも上がっているのは基本的に最新マスターで、自分のライブラリと聴き比べが出来る。しばらく手当たり次第聴きまくって、買うものと買わないものを見極める事にした。

最初に手をつけたのはLed Zeppelinのデラックス・エディション。コンパニオンCD収録のボーナストラックをプレイリストにまとめて聴きまくったが、総じてゴミ。以前のジミー・ペイジならこんな腑抜けたコンテンツは絶対リリースしなかったと思う。かつて「DVD」「How The West Was Won」を同時リリースした人と同一人物とは思えない。
気を取り直して本編リマスターに向かうが、すでにテンションガタ落ちのためか、刺さってくるものがない。ツェッペリン解散以降のジミー・ペイジは、ひたすらジョン・ボーナムの凄さを証明する事だけを追求していたはずなのだが、ドラムの音に冴えがない。Spotifyなんかで音の良し悪しを論ずるのは乱暴にも程があるので結論は保留するが、頭の中は?マークでいっぱいである。

「リマスターするたびに音悪くなってないか?」
2017/02/14 0
#デジタルリマスター

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